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会陰ヘルニア
2024.04.25/ 疾患ブログ

 

こんにちは、熊谷市の森の樹どうぶつ病院と江南森の樹どうぶつ病院です!

 

今回は会陰ヘルニアについてお話させてください。

会陰ヘルニアとは会陰=肛門まわり、ヘルニア=逸脱

会陰にある筋肉が薄くなることでお腹の中の臓器である直腸や前立腺、脂肪組織、膀胱などが出てしまう病気です。

症状はどの臓器が逸脱するかによって異なります。

◻︎肛門の周囲が膨らんでいる

◻︎排便姿勢をとっても少量しかでない、ずっと力んでいる(直腸脱)

◻︎血便、粘液便

◻︎おしっこが出ない、少しずつしか出ない(膀胱脱)

直腸の逸脱の場合には逸脱した部分に便が溜まってしまい便秘や下痢、しぶりの原因となります。

膀胱の逸脱で完全に尿閉(尿が全く出ない状態)になると急性腎不全となり命に関わり早急な対応が必要となることがあります。

大腸や前立腺の逸脱では炎症を起こし発熱による元気食欲の低下が認められることもあります。

超音波検査でどの臓器が逸脱いているのか確認し直腸検査で直腸の逸脱がどの程度か診断します。

 

好発する子の特長

男性ホルモンの影響で筋肉が菲薄しヘルニアをおこすと考えられているので未去勢の男の子がなりやすいとされています。よく吠える子は腹圧が上がり臓器が逸脱しやすいとも言われています。

犬種としてはミニチュアダックスフント、コーギー、ポメラニアン、フレンチブルドックなどです。

 

治療方法は

外科療法と内科療法があります。

内科療法としては

食事の変更や便がを柔らかくするお薬を使用しスムーズな排便を促します。逸脱した直腸に便が溜まってしまう場合には摘便処置を実施しますが直腸壁がかなり薄くなっている事が多く便が固かったり、憩室形成がある場合には直腸壁を傷つけてしまい便が体の中に入り発熱やショック状態を起こしてしまう危険性もあります。

 

外科療法

逸脱した臓器を腹腔内に戻し、菲薄した筋肉の代わりに総漿膜や内閉鎖筋、人工物であるポリプロピレンメッシュでヘルニア孔をうめる様々な術式があります。

男性ホルモンの影響と考えられているため去勢を実施し、逸脱が重度の場合には直腸固定や膀胱固定などを併用する場合もあります。

当院では再発防止と予防ためにも去勢術実施し、その後ポリプロピレンメッシュを円錐状に形成し仙結節靭帯、尾椎横突起、坐骨、外肛門括約筋と縫合しメッシュを固定します。逸脱がひどい場合には直腸固定、膀胱固定も検討します。

術後は感染や再発、反対側のヘルニアに気をつけなければなりませんが、外科治療は物理的に隙間を埋めることができ根本的な解決が見込めます。

 

便や尿が上手に出せないしぶりは辛いものです。上記の症状やお尻が腫れきたなどの症状がある方も、この病気を知り予防的に去勢手術を検討したい方もお気軽にお問い合わせくださいね!