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膝蓋骨脱臼(パテラ)
2024.04.21/ 疾患ブログ

埼玉県熊谷市の森の樹どうぶつ病院です!
本日は膝蓋骨脱臼(パテラ)についてお話ししたいと思います。

膝蓋骨はいわゆる膝のお皿と呼ばれる骨で人にもある骨です。その膝蓋骨は本来大腿骨の滑車溝と言われるくぼみにはまって膝の伸展運動を助けています。生まれつきの要因(先天的)や外傷、関節炎(後天的)の要因から滑車溝から内側または外側へ脱臼してしまうことを膝蓋骨脱臼と言います。 

症状として
◻︎歩いてる時にキャンと痛がる
◻︎後ろ足が地面に着けない
◻︎スキップしているように歩くことがある
◻︎左右で太ももの太さに差がある
◻︎膝を伸ばせないのでうずくまるように歩く

このような症状があるともしかしたら膝蓋骨脱臼(パテラ)かもしれません

 

好発犬種としてはトイ・プードル、ポメラニアン、チワワ、ヨークシャーテリアなどで小型犬に多くみられます。

 

治療方針はグレード分類をすることで決定していきます。

膝蓋骨脱臼グレード分類
1普段は脱臼ないが触ると脱臼する
2日常生活で脱臼してしまうことがある脱臼したり正常位置に戻ったりを繰り返す
3普段は脱臼しているが戻そうとすれば戻る
4脱臼していて正常位置に戻せない

触診と日常生活での症状をお聞きしながら診察し、レントゲン検査と併せて分類していきます。
グレード1〜2では消炎鎮痛剤やサプリメント、リハビリなどの内科療法と体重管理や生活環境の改善(床が滑りやすいと関節に負担をかけます)、ジャンプや回転運動は負担になるのでそういった運動制限をしていただき経過観察します。
グレード2の中でも内科療法で改善がない場合や脱臼頻度が高い場合には手術を検討することもあります。
グレード3〜4の場合は脱臼したままの状態が続き正常な歩行が困難になります。また、そのままにしておくと脛骨や大腿骨の骨変形が起こりさらに悪化する可能性があるため外科的手術を検討します。

手術の方法として

<内側広筋リリース>
内側膝蓋骨の場合には内側広筋が膝蓋骨を内側に引っ張ってしまうことが多いためそこを解放し内側に引っ張る力を軽減させます。

<滑車溝造溝術>
膝蓋骨が収まるくぼみが大腿骨にあり滑車溝といいます。そのくぼみが浅いと不安定になってしまうためくぼみを更に深く増溝します。当院では軟骨は残す術式です。

<脛骨粗面転移術>
脱臼が癖になると内側に引っ張られることで脛骨がねじれや歪みを起こします。
膝蓋靭帯の終止部の脛骨粗面を切り元の位置に戻しピンで止めます。

<滑落防止スクリュー>
スクリュー(ネジ)をストッパーとして設置しスクリューを超えて脱臼することを防ぎます。

レントゲンや術中所見をもとに上記の術式を組み合わせて脱臼の防止と骨のアライメントの整復を実施します。

入院は1週間アイシングやレーザー治療をしながらケージレストで安静に過ごしてもらいます。

痛みなく歩ける様にお手伝いさせていただければと思いますのでお問い合わせはお気軽にお電話、オンライン予約してくださいね!