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2月浅川ねねちゃん 短頭種気道症候群

短頭種気道症候群 浅川ねねちゃん
パグ 4歳6ヶ月齢 避妊した女の子

短頭種気道症候群とは
短頭種とは頭蓋骨の長さに比べて鼻の長さが極端に短い犬種のことで、パグ、ボストンテリア、フレンチブルドッグ、ブルドッグ、シーズー、ペキニーズ、キングスチャールズスパニエルなどのいわゆる鼻ぺちゃのワンちゃんたちの名称です。
そんな短頭種特有の上気道の構造が原因で引き起こされる呼吸器症状や消化器症状をまとめて短頭種気道症候群と呼びます。
外鼻孔狭窄、軟口蓋過長など構造異常は呼吸の妨げになってしまうことがあり吸気時に陰圧がかかることで続発的に喉頭小嚢反転や動的気管虚脱、陰圧性肺水腫などを引き起こす可能性もあります。
また呼吸器症状に伴って胃炎による嘔吐や吐出などの消化器症状を呈することもあります。

2023年12月努力性吸気(お腹の力を使って大きく吸う様子)を院内で確認、レントゲン検査にて軟口蓋過長と舌根部の肥厚を認めました。

軟口蓋切除術を予定しました。
外鼻腔拡張術も同時に実施することがありますが、ねねちゃんは避妊手術の時に実施しており狭窄はなかったので今回は軟口蓋のみの手術としまたし。
2024年1月食欲不振を主訴に来院し血液検査と腹部超音波検査で消化管運動の低下を認め消化管運動促進剤を使用、短頭種気道症候群による消化器症状の合併を考慮し1週間の内服治療後にCO2レーザーによる軟口蓋切除術を実施しました。

気管に垂れ下がるように軟口蓋が伸びているのがわかります。気道を塞いでしまう分呼吸が苦しくなってしまうのがよくわかりますね。

CO2レーザーを使うことで術後の腫れを最小限に抑えました。

実際に切除した軟口蓋です。

切除後の様子です。

術後ねねちゃんは呼吸状態も安定し消化器症状もみるみる良化しました。正直ここまで消化器症状が改善するとは思ってもいなかったので、呼吸が苦しいことが原因で消化器にまで悪影響を及ぼしてしまうのだなと改めて実感させてくれたねねちゃんでした。