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11月MVP 柴崎ルルちゃん 猫形質細胞性歯肉炎

柴田ルルちゃん
日本猫 推定2歳(保護猫) 避妊した女の子

猫形質細胞性歯肉炎
いわゆる口内炎で、口腔内に炎症が起こり出血やびらんを伴う事で強い痛みがでてしまいご飯が食べれなかったり、水が飲めなかったりと体重減少や脱水が起こり、生活の質を著しく落としてしまう疾患です。
原因としてはカリシウイルスや特定の細菌の関与、口腔内微生物に対する過剰な免疫反応が合わさって起きていると考えられており、口腔内微生物の絶対量を減少させることで炎症を抑え、痛みの緩和を図る治療が現在では主流となっています。
微生物は歯肉や歯冠に多く存在するので歯を抜歯することで微生物の数を減少させます。

2023年6月知人から譲渡後に食欲低下を主訴に来院、口腔内の尾側粘膜に重度炎症を認め、血液検査にてエイズ白血病ウイルス抗原検査陰性、猫コロナウイルス抗体検査陰性、WBC59400/μl、ビリルビン3.4mg/dl、SAA8.11μg/ml。
プレドニゾロン0.85mg/kg1日1回と抗菌薬で治療開始、食欲安定し血液検査正常値へ
プレドニゾロン0.55mg/kg1日1回漸減後、インターフェロン製剤を併用してもなかなか安定せず、外科的治療に踏み切りました。

炎症は主に尾側に集中しており犬歯にまで波及していなかったため全臼歯抜歯術を選択しました。
臼歯抜歯後に歯槽骨の骨棘を切削しできるだけ滑らかになるように処置し、歯肉をトリミング後縫合を実施、口内炎表面を炭酸ガスレーザーで蒸散する治療も併せて実施しました。
同時に組織生検を実施し病理検査に供しました。
食道瘻チューブを設置して術後すぐはそちらから栄養管理をしました。

術後1ヶ月で食道瘻チューブを抜去、その後もルルちゃんは自ら食事を積極的に取るようになり2.88kgまで落ちた体重3.52kgまで増えました。
術後3ヶ月でやや歯肉に赤みが出てきたのでシクロスポリンを開始し管理していく予定です。
全身麻酔と抜歯を頑張り痛みがやわらいでたくさん食べれるようになってよかったです!ルルちゃんこれからも元気にお過ごしください。