川島チャンくん 口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)
2025.09.28/
MVP (Morinoki Valiant Pet)
悪性黒色腫(メラノーマ)
わんちゃんの悪性黒色腫はメラノサイトと呼ばれるメラニン細胞が腫瘍化した疾患で、口腔内粘膜や眼球、爪の付け根などに発生します。特に口腔内のメラノーマの多くは悪性度が高く局所浸潤性や転移性が強いとされています。急速に増大し、一部潰瘍化すると出血や細菌感染を生じ口臭やよだれ出血の増加、食べづらさが出てきたり、骨へ浸潤し骨融解やリンパ節転移、肺転移を引き起こすこともあります。
治療方針としては外科手術が第一とされていますが、転移の有無や、腫瘍の大きさは十分に切除、摘出ができるかどうか全身の状態確認が必要となります。
抗がん剤治療や放射線治療も選択肢としてあり、最近では免疫療法や光線温熱療法も注目されています。(放射線治療は当院では行なっておりません。二次診療施設へ紹介をさせていただきます。)
川島チャン くん
ミニチュアダックスフンド×パグ
14歳9ヶ月齢 未去勢の男の子
2025年8月口腔内に黒いできものがあるとのことで来院、鎮静化で切除生検を実施しました。病理組織検査は悪性黒色腫(メラノーマ)との診断でした。
チャンくんの場合、分裂指数が多く中〜高悪性との診断で高い局所再発性や転移性を考えるとどの治療方針を選ぶべきか大変難しかったです。ご家族とご相談させていただき、所属リンパ節へ転移や肺転移が確認されなかったこと、メラノーマの発生部位が吻側で充分に切除摘出でき術後も舌の機能を維持できる可能性があること、外科手術を実施し少しの間でも出血なくご飯を美味しく食べさせてあげたいという思いから下顎吻側切除術を実施しました。
術後の様子
食べづらさが出る可能性があったので食道瘻チューブを設置しましたが、チャンくんはガツガツと食べてくれたので数日で抜去しました。術後初めてのお食事だったのでこぼれましたがよく食べてくれ、スッタフみんなでさすがチャンくんと喜んだことを覚えています。
今後も再発や転移に備えて定期検診や免疫療法を検討していきたいと思います。
お辛い中でも病気と向き合いたくさん悩まれて手術の決断をされたチャンくんお母さんとお兄さん、術後も変わらず元気にご飯を食べてくれ強い生命力をみせてくれたチャンくんに感謝でいっぱいです。これからも一緒に病気と闘っていきましょう!