誕生日に思うこと
2020.02.18/
ファミリー
こんにちは。ほくです。
1年前の今日は、ほく達兄弟がえなママから産まれた日だよ。
そう、1歳の誕生日です!!!
もちろん、1年前のことは覚えていないけれど。人間母さん(院長)に話を聞くと、それはそれは大変だったっんだって。
ママのお産はドイツでしようか日本でしようか迷ったらしいけれど、何かあった時にすぐ対処できる日本を選んだよ。そりゃそうだよね。なにせ家はどうぶつ病院だからこれ以上安心な場所はないよね。この選択は大正解だったよ。
一年前のお昼前、ママが破水。でも、なかなか赤ちゃんが出てこないので、すぐ対応。帝王切開のオペ開始。
ここからが第一の修羅場。おなかを切って、一匹ずつ赤ちゃんを取り出すのだけれど。時間との闘い。
タオルにくるんで赤ちゃんの身体を拭き、上下に振って羊水を口から出さなければならないんだよ。それで呼吸を開始すれば一安心なんだけれど、麻酔が効いてしまってなかなか呼吸しない子もいるんだ。次から次へと取り出される赤ちゃんにスタッフは小さな命を救おうと必死に頑張る。一方で、ママの手術を継続し周りでは赤ちゃんの蘇生がその数だけ行われていて、まさに戦場だったようだよ。
出産直前におなかの中で亡くなってしまった兄弟がいて、ほく達は出てこられなかったのだけれど。その子が最後まで頑張ってくれたおかげでほく達は無事ママのおなかの中で育ったんだよ。もし、その子がママのおなかの中での発育段階で力尽きてしまっていたら、ホク達も生まれてくることはできなかったのだから、会えなかった兄弟に感謝だよね。もちろん病院のスタッフにも大感謝!
やれやれ、一安心と思っていたら・・・・・
第二の修羅場・・・・・
子育て中のママの様子がおかしい。
「不整脈が出てる」。母さんがさけんだ。
しかも、かなり危険なレベル。
即入院。
一時は回復不能かもしれないと思っていたけれど、必死の治療で回復。
第三の修羅場は・・・・・
入院したママの代わりの育児。
ほく達兄弟5匹をミルクから排泄から体調管理まですべて24時間ママの代わりにやらなくてはならないんだよ。
っで、誰がやるん?
ママの代わりに育児をしてくれたのが人間母さんとその姉のようこおばさん。(元気とルリはドイツ)
育児スペースに入り込んで生まれたばかりのほく達に数時間おきにミルク。人間ならば五つ子の育児と変わらない。寝る時間だってほんの数時間。付きっきり。普段食べないチョコレートで元気を保っていたんだって。
第四の修羅場・・・・・
「この子おかしい、胸がつぶれてる。歩けないかも」と母さんが言ったのは、ほくのこと。ロート胸っといって胸が実験器具のロートのようにつぶれていて四肢で身体を支えることができなかったんだよ。ほかの兄弟がチョコチョコ歩き回っているのに、ほくは胸を床につけてズリズリと進むだけ。母さんはこの時「この子は私が一生面倒をみるんだ」って決めたんだって。
さらに、妹のマーシャが緑膿菌に感染してしまった。肩のあたりから皮膚にドレーンを入れて数時間おきに洗浄。他の兄弟のミルクやら排泄の処理やらあるのにさらに眠れない。徐々に元気がなくなっていくマーシャ。もう駄目だろうと思ったある日、ようこおばさんは一晩中マーシャを抱いていたんだって。すると朝、魔法がかかったかのようにマーシャが復活。最後の最後でマーシャの生命力と愛が緑膿菌に打ち勝った。
その後、春が来て桜の花が咲くのと同じように、ママもほくもマーシャもあたかも何ともなかったように成長し健康な身体になったんだよ。もちろん他の兄弟も。
誕生日の今日、一年前の話を聞いて思うんだよ。ほく達兄弟が生まれて育って、今それぞれの場所で幸せに暮らしていることは奇跡だって。それから、周りの人たちの懸命な努力があったんだ。だから、感謝しなければいけないって。
でも、それってほく達だけに限らず、すべての生命に共通しているんじゃないかな。であるとすれば粗末にしていい命なんてないんじゃないかなって。
次回は他の兄弟達の暮らしぶりを紹介します。